2024.03.01
立川市

悩みを共感できる仲間と手を貸し合い
ひとり親の孤立を防ぐ

立川市ひとり親家庭福祉会 立川みらい[2022年2月取材]

 貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」という二つの考え方がある。前者は生きるために必要最低限とされる生活水準が満たされず困窮している状態で、その多くは南アジアやアフリカなどの発展途上国で起きているのに対し、日本では、国や地域の平均的な生活水準と比較し困窮した状態を指す相対的貧困が、重要な社会課題となっている。

 厚生労働省の調査によれば、国内では「30歳未満と65歳以上の世帯主」、また「単身世帯や大人1人と子どもの世帯」に貧困率が高く、ひとり親家庭の生活水準は約2世帯に1世帯が相対的貧困にあたるといわれている。(図1)その背景には養育費の未受給や正規雇用割合の低さなどがあり、経済的に困窮した世帯では、日常の衣・食・住や医療、子どもの教育など、生活の様々な面において制約が生じるほか、社会から孤立し、家庭環境の悪化や虐待などを引き起こすケースも少なくない。内閣府による「令和3年 子供の生活状況調査の分析」では、過去1年間に必要とする食料が買えなかった経験について、ひとり親世帯の30.3%が「あった」と回答。18歳未満の子どもの7人に1人が貧困状態にあり、早急な実態把握と社会的支援が望まれている。

 立川市を拠点に活動する「立川市ひとり親家庭福祉会 立川みらい」に話を伺った。

◎立川みらい https://tachikawamirai.wixsite.com/home


 

ポイント

課題の背景・活動のきっかけ

●1959(昭和34)年、戦後未亡人の会として「立川市母子寡婦福祉協議会 立川マザーズ」として設立。母子家庭の当事者同士の助け合いから立ち上がり、2017(平成29)年に「立川市ひとり親家庭福祉会 立川みらい」へ団体名改称し、現在は父子家庭も含めたひとり親家庭のピアサポート(同じような課題を抱える人同士の支え合い)団体として活動している。会員数は139世帯(2023年12月31日現在)。

●ひとり親家庭の交流や、関係団体によるスキルアップ講習の紹介や養育費などの法律相談など、親子が実りある人生を送るために、会員同士で様々な行事や講習会を企画。支援物資を配布するだけではなく、ひとり親の孤独と孤立を防ぐコミュニケーション活動にも力を入れている。

活動の特徴

●ひとり親が安心して話せる場「おしゃべりカフェ」や、BBQや宿泊体験などの親子親睦イベント

●フードパントリー(無料で食料を提供する支援活動)・子ども食堂などの食料支援

●ピアサポートカウンセリング・セミナー開催・個別相談などの、ひとり親家庭のメンタルケア

●ボランティア講師による、ひとり親家庭のための無料学習塾

●「LINE」のグループチャットによる会員の相互コミュニケーション


フードパントリー(無料の食糧支援)


親子親睦イベント


子ども達にもまるで兄弟のような信頼関係が生まれている

目指す未来

●ひとり親家庭の孤立と貧困をなくし、親子が実りある人生を送る

●会員同士が手を貸しあう、持続可能な組織運営

パートナー・関係先

◎シングルマザーサポート団体全国協議会 https://www.single-mama.com/council/
◎NPO法人キャリアアシスタント http://career-assistant.jp/
◎立川市社会福祉協議会 https://www.tachikawa-shakyo.or.jp/
◎立川市子ども家庭支援センター https://www.city.tachikawa.lg.jp/kodomokatei/shise/gaiyo/soshiki/kodomokate/kodomokatei/
◎フードバンク立川 https://fbtachikawa.wixsite.com/website
◎フードバンクTAMA https://foodbank-tama.com/
◎国際ソロプチミスト立川 https://sia-higashi.com/category/tachikawa/

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