2023.06.27
国分寺市

地元産野菜を推進する
「こくベジプロジェクト」の原動力

農家とまち・暮らしをつなぐ「こくベジ便」
こくベジ便[2023年2月取材]

地域で生産された様々な生産物や資源をその地域で消費する「地産地消」。そこには生産者と消費者の結びつき強化、地域活性化、流通コスト削減のほか、「食料自給率」向上の面でも注目されている。

食料自給率とは、国内に供給した食料のうち国内で生産した割合だが、農林水産省の直近2021(令和3)年度のデータ(※1)によると、日本は38%(都道府県別では東京都は0%)と低く、食料の多くを輸入に頼っている。食料の安定供給のためには、食料自給率向上に向けて日本の生産者と国産品を選ぶ消費者の循環が重要である。

市街地及びその周辺の地域において行われる「都市農業」には、都市部での「地産地消」の実現と併せて、環境保全や教育の醸成、防災など暮らしを豊かにする多様な側面があると言われる。農地の宅地化が進む一方で、農地面積が都内で2位の国分寺では地元産野菜を推進する「こくベジプロジェクト」が7年目を迎え、都市農業のモデルケースとして注目が高まっている。「こくベジ」を陰で支える「こくベジ便」の活動をする奥田大介さんと南部良太さんに話を伺った。

※1 カロリーベース総合食料自給率。国民1人1日当たりに供給している全品目の熱量の合計に占める国産の熱量の割合を計算した値のこと

こくベジプロジェクト ● https://kokuvege.jp/

ポイント

課題の背景・活動のきっかけ

●「こくベジプロジェクト」は、2016年3月、国分寺市と株式会社リクルートが、ご当地グルメとして地元野菜を使ったメニューを市内の飲食店で出す企画としてスタートし、農家と飲食店をつなぐインフラとして市民グループによる「こくベジ便」が始まった。
●イベントや動画、ポスターなどPRが充実する一方で、「こくベジ便」は一過性ではなく農家と街の人との日常的な繋がりを重視、現在7年目を迎える。
●「こくベジプロジェクト」には、国分寺市役所・国分寺市観光協会・こくぶんじ観光まちづくり協会・国分寺商工会・JA東京むさし国分寺支店・NPO法人めぐるまち国分寺が関わっている。

活動の特徴

●はじめは3軒の農家から始まり、現在は約15件の農家と60件の飲食店と参加が増え、現在は地元に定着した「こくベジプロジェクト」。「こくベジ」は地元・国分寺市内での認知はもちろん、都市農業のアイコン的存在となっている。
●個人の飲食店に加えて、駅ビル「セレオ」の飲食店街や「無印良品」、パン店「アンデルセン」での継続的な取り扱いや、「GAP」によるユニフォームの支援、市内に中央研究所がある「日立製作所」によるアプリの試験開発など企業とも連携。
●プロジェクトに関わりたい人に、厳しい規制を設けず、サポートすることでプロジェクトが広がってきた。
●規格や収穫量が一律でない農作物の状況や、店の仕入れ量など、農家・飲食店が互いの事情を理解し、一緒に楽しみながら共に作ることで、築かれる関係性や、地域貢献や生活を楽しむ気持ちを育む。

 

目指す未来

農家さん・飲食店さん・まちの人と一緒に楽しみながら、農と共にある暮らしを紡いでいきたい。

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