2023.06.27

子どもたちと一緒に
未来の商店街を描く

ペアリーロード稲城商店街
 

ペアリーロード稲城商店街
会長 田中 学さん
(Hairsalon Tanaka 代表)

2022年3月取材【広報たまちいき108号掲載】

 JR南武線稲城長沼駅近くにある「ペアリーロード稲城商店街」。はじまりは1991(平成3)年ですが、その前身である「稲城中央商栄会」を含めると70年以上の歴史がある古い商店街です。いまだ昭和の面影が残る街並みに39店が営業しています。

 かつては大きな商店街だったとのことですが、現在では後継者不足で加盟店は減少し、アーケードなど老朽化した設備のメンテナンスや、街灯の電気代をはじめとするランニングコストが商店会費を逼迫するなど、数々の課題が山積しています。

「以前は市とともにイベントを行い集客してきましたが、コロナ禍ではそれも難しく、商業者は疲弊しています」と同商店街会長の田中学さん。

 2021(令和3)年、田中さんは地域の小学校の「総合的な学習の時間」を使って、商店街の未来を考えてもらう授業を行いました。商店街の歴史について調べていた子どもたちから「学校に来てください」と声がかかり、教壇に立つことになったのです。

「この地域は世代の偏りがなく、子どもから高齢者まで幅広く暮らしているのが特徴です。商店街についても子どもたちに自分事としてとらえてもらう、良いチャンスだと思いました」

 授業では「お客が少ない」「飲食店がない」など率直な意見が出ましたが、「古い感じが好き」といったポジティブな声も聞かれたのだとか。そこで田中さんは子どもたちに「2030年の商店街未来マップ」を描いてもらったそうです。

「ITなど最先端技術を駆使したアイデアが出てくるかと思いましたが、子どもたちは現実的で今の立地や道路をベースにリアリティのある未来像が多かったのが印象的でした」

 では、田中さんご自身が描く未来の商店街像とはどんなものでしょうか。

「買い物に行けない方にも、必要なものを届けたいので、移動商店街や宅配などを視野に入れています。『商店街』という箱にこだわらず、いかに買い物難民をつくらないか、これが商店街のあるべき姿ではないかと思っています」と答えてくれました。

 

かつてアーケードの上に地域住民から親しまれていたキリンのオブジェがあり、老朽化により撤去された後は、商店街のゆるキャラとして生まれ変わった。
「総合的な学習の時間」を使った授業風景。商店街の歴史と現状を知り、未来の商店街像について子どもたちが考えた。
 
子どもたちが描いた「2030年の商店街未来マップ」は冊子となり、稲城市長に向けてプレゼンテーションを行った。

 

◎ペアリーロード稲城商店街 https://xn--cck1d2b7cp3gb.com/

 

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