2023.06.27

商店会と地域住民が
福祉の担い手に

小金井市けやき通り商店会
 

小金井市けやき通り商店会
会長 益田 智史 さん(写真右)
(ロックンキッチンあいたい屋 店主)

小金井市立本町高齢者在宅サービスセンター
センター長 山極 愛郎 さん(写真左)

 2021年10月取材【広報たまちいき103号掲載】

 

 JR武蔵小金井駅の北口から小金井街道を進むこと数分。途中、街道を東に折れた市道にあるのが「けやき通り商店会」です。商店と住宅が混在する小規模な商店会ですが、未来の商店会のあり方に一石を投じる、大きな変革が進められています。

 きっかけは2017(平成29)年に実施された、300名を超える近隣住民へのアンケート。「お客さまは何を望んでいるのか?」を調査したところ、結果は予想外のものでした。

「イベントや祭に期待する声だけでなく、子育て応援や高齢者の見守り、気軽に集まれる居場所づくりといった、福祉的な要望が多かったのです」と、商店会会長の益田智史さん。そして、益田さんはその実現のために近隣の小金井市立本町高齢者在宅サービスセンターに相談。センター長の山極愛郎(やまぎわ よしろう)さんとともに、月に1回みんなが集まり交流する「みんなの安心・ささえ愛ネットワーク」(通称:みん愛ネット)の発足に至ったのです。

 みん愛ネットは、世間話をしながら気楽に情報共有や課題発掘をする場です。益田さんが認知症によるひとり歩き高齢者の見守りを商店会の課題としてあげたことをきっかけに、地域住民を巻き込んでゲーム形式の見守り訓練「けやき通りdeかくれんぼ」のイベントを開催し、多くの方が関心を持ち参加しました。こうした福祉を取り入れた取り組みは、市内外からも関心を集めています。

「なぜ商店会が福祉?と思う方もいるでしょうが、商売の基本は困っている人を助けることだと思います。お子さんやお年寄りの見守りを個人店で対応するのは難しくても、商店会や新たなネットワークなら可能です。我々がまちに必要な存在だと感じてもらえれば、地域の皆さんが買い支えてくださる。結果的に、商業振興につながっていきます」と益田さん。

 一緒に取り組みを進める山極さんも、「まちづくりは福祉そのものです。福祉の分野だけでなく、商業や農業など他分野にもネットワークを広げていきたい」と話してくれました。

商業、農業、福祉など、様々な分野の人が集まる「みん愛ネット」定例会。常時10~20名がボランティアで参加し、まちの課題などを話し合う。この日の会場は、みん愛ネットの活動によって実現した、高齢者支援の農園。

商店会の取り組みを紹介したマップ(左)や商業者に活動への参加を促すリーフレット(右)も作成。

専用アプリでひとり歩き高齢者を探索する見守り訓練を兼ねたイベント「けやき通りdeかくれんぼ」が、商店会の祭りのなかで実施された。
「けやき通りdeかくれんぼ」は、東京都商店街グランプリ2018の優秀賞を受賞!

 

 

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