2023.06.27

マンモス団地で自転車送迎
高齢単身世帯の見守りにも

村山団地中央商店会
 

村山団地中央商店会
会長 比留間 誠一さん

2023年1月取材【広報たまちいき118号掲載】

 多摩モノレール上北台駅から徒歩約10分。都営村山団地の敷地内にある「村山団地中央商店街」では、地域内から買い物に来る人を特製自転車で送迎していることで知られ、多くのメディアで紹介されています。どのような経緯で自転車送迎が始まったのでしょうか。

「ここは1966(昭和41)年に建設されたマンモス団地で、当時の入居者数は約2万3,000人にのぼります。折しも高度経済成長期真っただ中で、同時期に開業した商店街もにぎやかでした。しかし、1995(平成7)年から、老朽化した建物の建て替えが始まり、現在も団地の半分ほどが工事のために空けてあります。時代とともに人口も減少し、現在の入居者は7,000人ほどです」と同商店会の会長を務める比留間誠一さん。

 かつては2階建てと5階建てだった建物は、エレベータ付きの6〜14階建てになり、住居環境が変わったことや住民の高齢化も進んだことから、買い物に出てくる人が少なくなったそうです。そこで、商店街では宅配事業をスタートしました。

「それでもやっぱり外に出て、商店街で買い物したいという人もいて、わずか700メートルほどの距離をタクシーで来られていたんです。帰りはお客さんに車椅子に乗っていただいて家まで送っていました。その間にいろいろおしゃべりしてね。お年寄りにとっては、そういう時間も大事なんですよね」

 そこで、なんとか商店街に来てもらう方法はないかと考え、自転車送迎に思い至ったのだそう。それからは商工会と相談し、予算を取り、運良く送迎用の自転車を作ってくれる会社との出会いもあり、トントンと話が進んで現在に至ります。

「私たちが送迎することで、お年寄りは外に出る機会が増え、商店街とお客さんとの絆も深まります」と比留間さん。また同時に、この取り組みは一人暮らしの方の「見守り」の役割も果たしているのだそうです。


地域のお客さまを送迎する専用自転車「むさむら号」。1号から3号まであり、現在は2台が稼働している。

メディアでも話題になり、全国の商店街が視察にやってくる。

商店街の空き店舗を利用した、送迎自転車の拠点「おかねづかステーション」。ここに電話をもらって、お客さまの自宅まで迎えに行く。利用料は無料。

商店街では年間100日ほど売出しをしていて、始終にぎわいをみせる。歳末セールの福引など「昔ながらのガラポンにこだわっています」と比留間さん。

 

 

この記事をシェアする