2024.04.01
小金井市

体験を通して小中学生に
科学の魅力を伝える

「青少年のための科学の祭典」東京大会in小金井 実行委員会 [2023年8月取材]

 日本の小中学生の理科や算数・数学の学力は、世界の中でも高水準であると評価されている。2019年に行われた国際教育到達度評価学会(IEA)の教育到達度に関する国際的な調査(TIMSS ※1)によると、学力調査では日本の平均得点は理科、算数・数学ともにトップクラス。一方、意識調査では、「将来、理科や科学技術に関係する職業に就きたい」と答えた生徒は小中学生全体の27%と低く、理科が日常生活や将来像と結びつきにくくなっていることが窺える。こうした小中学生の「理科離れ」には、読解力や表現力の低下、小学校教員の理科離れ、成人の科学リテラシーの低下など様々な要因があるとされている。

 多摩地域には、理系学部を含む大学や公的研究所、企業の研究機関などが集積し、先進的な科学技術や理数系教育に重点を置き人材育成を図る高校として、多摩科学技術高等学校など文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校も複数所在する。

 理科への関心や学ぶ意義、有用性の実感を高め学習意欲を育むためには、地域の教育や研究の土壌が豊かであることは大きな利点と言える。その中で生活と理科との関連性の発見や主体的な取り組み、観察や実験の機会創出が求められている。青少年に科学の魅力を実体験できる機会を提供する「『青少年のための科学の祭典』東京大会 in小金井」の実行委員会 大会実行委員長の生尾光さん(東京学芸大学 準教授)、事務局長の本川交さん(国際ソロプチミスト東京-小金井)に話を伺った。

※1:IEA(国際教育到達度評価学会)「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)」 日本では小学4年生、中学2年生を対象に実施
※2:内閣府「第5期科学技術基本計画」(2016年)において、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会として「Society 5.0」が提示された


◎青少年のための科学の祭典 東京大会 in 小金井 https://www2.u-gakugei.ac.jp/~ascest/ysf/

 

ポイント

課題の背景・活動のきっかけ

●科学技術分野の実験や工作を一堂に集めた実演・体験型イベント「青少年のための科学の祭典」。青少年が科学技術に親しむ環境づくりとして、1992(平成4)年に東京・名古屋・大阪の3会場で始まり、20年後の2011(平成23)年には全国大会のほかそれぞれの都道府県で118もの県別の大会が開催されるほど全国に広まった。

●東京都では2007(平成19)年より「青少年のための科学の祭典 東京大会in小金井」として、第1回目は都立小金井工業高校で、それ以降は東京学芸大学を会場に大会が開催されてきた。地域の小中学校や高校、大学、専門学校、そして研究機関や企業、行政などが領域を越えて協働することで、科学の面白さを知る人材の育成や地域の活力醸成が促進されることを目指している。

「青少年のための科学の祭典」サイエンスライブショー

活動の特徴

●2019(令和元)年に開催した東京大会では88の出展ブースが並び、市内外から7,800人が来場。東京学芸大学の研究室と国際奉仕団体「国際ソロプチミスト東京 小金井」が事務局を勤め、中高生のボランティアスタッフが当日のサポートをする。

●東京学芸大学、東京農工大学、法政大学理工学部などの大学や国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の研究室のほか、多摩六都科学館や地域の企業、民間団体など幅広い分野から出展。光や音、エネルギーに関する実験やものづくり、ロボット操作やスポーツ義足の体験、動物との触れ合いなど、それぞれの得意分野で科学技術体験の場を提供する。

●小金井市内の公立小中学生の自由研究を展示。東京学芸大学・東京農工大学・法政大学の教員が審査員となり、科学技術の観点から審査し優れた研究を表彰し、子どもたちの目標にもなっている。

●コロナ禍では参加者に実験キットを送り、オンラインで開催。遠隔で実験やものづくりの体験を提供し、滝川洋二先生(NPO法人ガリレオ工房理事長)の指導で、宮城県・福島県と小金井市の子どもたちをつないだサイエンスライブショーを実現した。

●2023(令和5)年9月にはコロナ禍を経て、3年ぶりに対面で開催した。




過去の大会の様子

目指す未来

身の回りの事象を科学的な視点で捉えるきっかけとなり、小中学生時代の実体験から理科が好きになり、子どもたちの将来の夢が広がること。

パートナー・関係先

◎東京学芸大学 https://www.u-gakugei.ac.jp/
◎東京農工大学 https://www.tuat.ac.jp/
◎法政大学 理工学部 https://www.hosei.ac.jp/riko/
◎国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)https://www.nict.go.jp/
◎小金井市 https://www.city.koganei.lg.jp/
◎小金井商工会 https://koganei-s.or.jp/

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