2023.12.01
国立市

地域と文化芸術
国立のアートプロジェクトが生み出す
新たなまちの価値

ACKT [2022年10月取材]


 芸術、伝統芸能、生活文化、文化財などの「文化芸術」は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするとされている(文部科学省HPより)。

 2023(令和5)年3月に文化庁が発表した「文化に関する世論調査報告書」によると、地域の文化的環境について、住んでいる地域の文化的環境に「満足している」人は37.7%、「満足していない」人は32.2%だった。「満足していない」人の理由としては「魅力的な活動・イベントがない」「参加できる活動がない」が上位であった。また、文化的環境を今より充実させるために重要だと思うことの上位は、「ホール・劇場、美術館・博物館などの文化施設の充実」「公演、展覧会、芸術祭などの文化事業の充実」「子どもが文化芸術に親しむ機会の充実」となった。このように、文化施設によるものだけでなく、多様な主体の様々な文化事業によって、多世代が文化や芸術に触れられる環境が求められていると言える。そのようななか、まちに複数のアートプログラムを立ち上げ、少しずつまちを豊かにするプロジェクトが国立市で始まっている。

 2021(令和3)年、国立市でアートやデザインの手法を使って、地域に新たな交流や活動を生み出す拠点づくりの文化事業「ACKT」が立ち上がった。「ACKT」は行政と市民、そして文化芸術の担い手が連携するプロジェクト。事業を運営する一般社団法人ACKTの2人に話を伺った。

※全国の18歳以上の日本国籍を有する者3,000人に実施

一般社団法人ACKT ● https://www.ackt.jp

ポイント

課題の背景・活動のきっかけ

●「まちを舞台に編まれる芸術と文化」をテーマに、民間の視点で活動するアートプロジェクト

●「自分のまちを自分たちで良くしたいという人が多い」という国立市の特徴を活かし、文化や芸術を通して地域の人たちと関わり、地域の課題にもアプローチしようとしたことがきっかけ

●国立市や多摩地域の社会課題に文化や芸術の視点で取り組み、「多様な人々が集い文化的活動を育むプラットフォーム構築」「文化や芸術の力で時間をかけてまちを変えること」を目指す

活動の特徴

●地域の「顕在化されていない課題と文化の交点となるようなところ」にプログラムを立ち上げ、アーティストだけでなくこれまで文化との接点がなかった市民・市外の人たちも巻き込み交流し、共に活動する場所や仕組みを創っている。

●2022(令和4)年には、空き家や空き地など活用されていないスペースに拠点をつくり新たな使い方を提案する「遊○地(ゆうえんち)」や、まちの隙間にパブリックとプライベートの中間領域としてテントを仮設し、まちの人との交流を図っていく「・と(てんと)」を実施。

●プログラムの参加者や活動の担い手などとして関わる人を「CAST(キャスト)」と呼び、CASTや拠点を増やしていくことで、まちに新たな価値を生み出していく。

●情報発信や活動のきっかけづくりとなるフリーペーパー「○ZINE(えんじん)」創刊や、国立市谷保エリアの歴史を学びながら作品を作るプログラム「谷保村式土器」を実施予定。

●現状では地域で「アートプロジェクト」といってもピンとこない人も多い状況ではあるが、街中に現れるACKTのプログラムをきっかけに新たな交流も創出している。

「Kunitachi Art Center 2023」

「遊○地(ゆうえんち)」

「・と(てんと)」

「谷保村式土器」

 

目指す未来

すぐに解決できたり明確な答えが出たりすることではないところにこそ、文化や芸術の力が必要と考え、一つのまちでいくつものプログラムを創り、多様な価値観をその地域で広げ、まちの文化が豊かになること

パートナー・関係先

◎アーツカウンシル東京 https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja
◎国立市 https://www.city.kunitachi.tokyo.jp

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